ニュース&記者コラム

【記者コラム】競輪愛あふれた諸橋さん、どうぞ安らかに

 競輪を愛し、誰よりも自分を持っている。それが〝諸橋愛〟という選手だった。

 2年前、S班だった佐藤慎太郎に東龍之介が競りにいったことが話題となった。この話を諸橋さんに振ると眼光が鋭くなった。「S班のところに競るのは違う。9人しかいなくて輪界を引っ張り、盛り上げてくれている選手だから」と最上位はたてるという独自の美学を話してくれた。ただ、競るという勝負は好き。「でもね、慎太郎さんがS班じゃなくなったら俺もいっちゃうよ」。ニヤッと笑っていたのが忘れられない。

 同地区の選手でも認めていなければ付かない。常に勝利を求めていた。ある若手との初連係では、後輩がゴール前で差されるのは嫌だとゴール前で斜行もしてきた。すると「危ないのは嫌だよ」と苦笑い。「でも、負けず嫌いなのは嫌いじゃない」とうれしそうにしていた。

 昨年5月、平原康多さんが引退した。その際には「康多は人間として魅了されるし、引かれる存在だった。そういう人間だから悲しむ人は多いでしょう」と話していた。続けて「俺はまだまだやるよ。クビになるまで。チャレンジでも走る。競輪、好きだからね」と笑っていた。

 いつも着用していたオリジナルウエアの背中には「愛」の文字があった。それは自身の名前でもあったが、競輪への大きな愛であった。クビになるまでと言っていたじゃないですか…。まだまだ闘志あふれる走りを見たかった。まさに唯一無二の男が9月21日に亡くなった。お疲れさまでした。ゆっくり休んでください。ご冥福をお祈りします。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の31歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。前回コラムの続き<競輪人気を確信>は3週後の次回とさせてください。

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